第7回親鸞賞主催者挨拶
財団法人本願寺維持財団(当時:現一般財団法人本願寺文化興隆財団) 理事長
大谷 暢順
親鸞賞は平成十二年、当財団が御開山親鸞聖人七百五十回御遠忌を目して創設したのですが、本年十月、その御遠忌法要を全国の群参とともに盛大に厳修しました。
さて、この賞は聖人の御遺徳を偲び、顕彰するとともに、これからの日本の文化と文学の振興に寄与するべく、既刊の作品の中から、日本人の精神文化に深く根差した、優れた文学作品に贈る、京都で初めてのフィクション文学賞です。
当初より毎回、こちらに御来席の選考委員の先生方が二年間に亙って夫々に熟慮考察されました後、本年十月に一堂に会して更に討論の結果決定されたものであります。
今回は、稲葉真弓さんの『半島へ』が選ばれました。この作品の優れた点については、後程、選考委員の方々と作者御本人による公開シンポジウムにて明らかにされますので、どうぞそれを楽しみにして戴きたいと思います。
最後になりましたが、当財団ではこの親鸞賞をはじめ、ノンフィクション文学賞の蓮如賞、世界最大、最高である納骨堂・東本願寺東山浄苑の経営、佛教文化振興事業、国際交流事業、出版事業等、「国益に利する」と日本政府等から称賛を受ける多彩な事業を国内外で展開しております。
今後ともこれらの事業が日本文化昂揚に大いに資することを願ってやみません。
第7回親鸞賞記念公開シンポジウム
● 加賀乙彦 (作家)
日本人の自然観とこれに基づく美しい文学をクールジャパンとして海外へ伝えなければ。
● 黒井千次 (作家)
この文学賞の趣旨こそ、「クールジャパン」。本賞の継続すなわち、日本文化の昂揚となる。
● 瀬戸内寂聴 (天台宗僧侶・作家)
日本の古典の振興が重要。教育を充実させ、自国の文化に矜持を持てるようにすべきだ。
● 中西進 (文学者)
日本の思想や精神文化をあらためて構築することこそ、クールジャパンを超えた姿だ。
● 稲葉真弓氏 (第7回親鸞賞受賞者)
見えないものへの畏怖、敬虔な思いが宗教と文化を育んだ。再度これに着目する時代。
以上