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常楽堂【じょうらくどう】

 常楽堂は、3階建て(地上2階、地下1階)の納骨堂で、延べ床面積11.050平方メートル(約3.350坪)の壮大な鉄筋コンクリート造りの建築です。
 約2万基の納骨御佛壇が御安置されており、身体の不自由な方やお年寄りの方でもお参り頂けるよう、車椅子で各階に移動出来るスロープが備えられております。

 御堂の中央部の吹き抜けには御身丈1丈2尺(4m)の巨大な阿弥陀如来像が御安置されています。これは、堂内の木像佛として昭和期最大の大きさです。
 また、常楽堂の外壁に沿って幅2mの回廊が四囲にめぐらされており、回廊の外側には東山の地下水が流れる堀「曲水」が取り巻き、盂蘭盆会法要【うらぼんえほうよう】の際には、有縁の佛様をお偲びする灯籠流し、「往還回向の夜」【おうげんえこうのよる】が執り行われます。

常楽堂御本尊

 常楽堂の御本尊阿弥陀如来立像は、東山浄苑東本願寺が単なる墓所ではなく、お参りに来られた方々が佛様の御教えに出会う場「寺院」でありたいという本願寺御法主大谷暢順台下【おおたにちょうじゅんだいか】の願いを受け、昭和62年に御安置されました。

 この御本尊を手がけたのは高名なる佛師・江里宗平、康則父子であり、樹齢350年の木曽檜を3本使った寄木造りで、随所に「巧の技」が凝らされております。御本尊全体には截金【きりがね】という技法が人間国宝・江里佐代子氏により手がけられており、金箔、プラチナ箔に緑、赤の彩色を施し、七宝【しっぽう】、羅網【らもう】、瓔珞【ようらく】、蓮華【れんげ】などが描かれています。この技法は、純金箔やプラチナ箔を数枚焼き合わせ、鹿皮の上で竹刀を使って線状などに切って貼り付けながら文様を描き出す技法で、佛像や佛画の加飾荘厳として用いられ、法隆寺金堂【こんどう】や東大寺戒壇院【かいだんいん】の四天王像に見ることが出来ます。その後、浄土教の興隆に伴い、我が国独自の截金として発展しましたが、徐々に衰退し、僅かに本願寺の庇護のもと、少数の截金師によって伝承されてきた貴重な佛教芸術です。

 これだけの巨像に截金のみで荘厳された佛像は歴史上にも稀で、ここ東山浄苑東本願寺の御本尊として、私達のまだ見ぬ子孫の心にも救いの光を放ち続けているのです。

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